小さな会社の経営者が育児世代に対してできること(前半は境治氏の件)。

少々業務が立て込んでおり、本ブログの更新が遅れました。

 

1. 境治氏の件

境治氏の件ですが、「NewsPicksと三上俊輔への抗議、その後の顛末〜批判はありだが、侮辱はダメだ〜」との投稿をされています。

 

当初はこちらのブログにも真面目に対応しようか思案しましたが、昨日徳力基彦氏の「ネットで批判されるのが嫌ならネットで情報発信なんかやめた方が良い?」や中川淳一郎氏の「News Picksのコメントがむかつくのは、「理性があると思ったのに…」という期待があったから」などでまとめられており、概ねネット民の皆さんの考える匿名と実名でのSNS上のコミュニケーションやトラブルに関する問題提起と批判批評も出尽くしただろうと感じました。

 

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特ダネでおなじみの(いつも楽しく見ています。)のやまもといちろう氏がツイッターで上手いこと第三者的にまとめられております。

 

なお、実名所属先顔出しでのSNSのコミュニケーションであっても、「直接とかキモイし怖い」、という評価が多く、こちらについては以下のようにコメントしております。

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また「会うとか最低の悪手だろ」という点については、拗らせて平行線辿っている方が延焼可能でネタとして長持ちしますので、PV稼ぎや炎上目的の方には悪手であろうと認識いたしました。

 

2. 経営者や起業家が育児世代に対してできること

今日の本題です。保育園問題+@について私の考えを述べます。昨今の保育園問題、元々これは一億総活躍社会というスローガンを政府が掲げたにも関わらず、保育園不足により職場復帰、就業ができないお母さん(多少はお父さんもいるのは?)の悲痛な叫びから生まれた社会に対する問題提起です。

 

現在、保育園が特に都市部では慢性的に足りておらず、またその認可基準や補助金の分配方法、運営するスタッフの労働・処遇環境など、様々課題が顕在化しています。しかしこの待機児童問題は今に始まった話ではなく、何十年も昔から存在しており、政府や行政を批判するだけでは解決されませんでした。また育児とキャリアの両立という点では、保育園というハコがあれば万事解決する単純な話ではないと考えます。

 

ここからは私がジーニアス社にて行った社会実験(事実)を案内します。この6年間で私自身が2歳の保育園児を育てる共働き家庭に身を置いたこと、また育児世代のパパママを採用し一緒に働いてあれこれ試行錯誤した経過を記載します。起業家、経営者ができることを認識頂きたいと考えています。

 

<会社概要について>

2011年4月に1人で創業、現在丸5年経過、社員11名、アルバイト・業務委託など含めると常勤非常勤含めて30名程度を雇用。20代~60代までの老若男女で構成、男女比1:1。事業内容は人材紹介・ヘッドハンティングアウトソーシング、年齢不問の求人サイトの運営。

社外的には顧客企業の人的課題の解決と高齢者層の労働市場の構築、社内的には老若男女がライフステージに合わせて柔軟に働ける環境を提供しようと考えて設立しました。

 

2-1. 「育児世代」:経営者として着手したこと

当社の最初の従業員は30代の女性で、2歳のお子さんのいるママ、且つ直近5年ほど職歴にブランクのある方でした。彼女との労働契約は、「正社員、月・火・木・金の9時~16時、水曜は13時~16時、必要に応じて在宅勤務を組み合わせて運用する」としました。報酬設計も、同一価値労働同一賃金原則に則り短時間勤務正社員としました。

 

在宅勤務に伴って、会社/自宅でシームレスに業務遂行可能にするため、ハード、ソフト両面の投資を行いました。ハード面では端末及びセキュリティを担保した専用回線の確保、ソフト面では業務システムのSaaS化や業務の可視化とフロー化を行いました。

有給は初年度から法定以上の14日とし、お子様の突発事情にも対応できるように申請即承認できるフローや、分割取得できる運用としました。

 

これらの制度は現在もすべての社員に適用されており、在宅ワークであれば、風邪を引いたが休暇を取るほどでもない場合、家族の看病が必要な場合、家のリフォームなど何らかの理由で自宅を空けられない場合、たまたまお子様の幼稚園・保育園・学校が休業で在宅で業務を行った方がはかどる場合などで活用されています。

 

直近では、元々派遣就業されていたスタッフが出産に伴い一昨年契約終了となりましたが、準委任形式で復帰、週3日在宅をMIXした働き方を提供しています。

加えて、時短勤務からフルタイム勤務の切り替え申請者に対しては、報酬設計も時短分をフルタイムに変更することで対応いたしました。

 

今後ライフステージの変化で何らか変形した労働時間を希望される場合にも、これらをうまく運用することで対応が可能だと判断しています。

 

なお、一番重要なのは、社内ばかり見て、働き方は柔軟になったが、会社の業績がイマイチでは意味がないということですが、こちらもほぼ設立当初の事業計画を忠実に達成することができました。これは私というより、所属するメンバー全員の貢献だと考えています。

 

2-2. 「育児世代」:夫・父親としてやってみたこと

2年前に父親になりました。我が家も共働きのために、保育園問題に直面、行政に問い合わせたところ、0歳/4月は入園可能、1歳/4月は待機50人でしたので、妻は出産後4か月で復帰し、息子を保育園に入れることになりました。

 

まず保育園の近く(徒歩5分くらい)に引っ越しをしました。私たち夫婦はオフィスも近く、職住接近が良かろうと考え、徒歩通勤圏内にすべてを置くこととしました。毎日の保育園の送りは2人で行い、お迎えは妻が週4日、私が週1日で行うことにしました。

 

私はサラリーマン時代、会社設立以降、平日は朝8:00-夜中23:30、土日はほぼ毎週国内外出張、毎月の休日3-4日のような働き方をしていました。夜も予定をぎっしり入れて仕事をしていましたが、週1日、仕事を17時過ぎに終え、息子をお迎えしてご飯を食べお風呂に入って寝る、という生活がスタートしました。

 

ベンチャーの3年目というのは個人商店がチームとなり、一旦ステージが変わる時期でもあります。そこでギアを変えられるか?が事業がスケールするか、ほぼ個人事業で終了するのかの分かれ目でもあります。働ける時間を短くする、というのは勇気のいることではありましたが、子供が親を頼ってくれる時期は一瞬であり、彼との時間を大切にしたいと考え決断しました。

 

当初1年くらいは産後復帰直後の妻の体調も芳しくなく、また保育園に預けた瞬間から息子は驚くほど風邪をもらってくるために、毎月3~5日程度は夫婦どちらかが看病する必要が出てきました。我が家の場合は、夫婦徒歩通勤のメリットを生かして、午前午後で看病を交代したり、私も在宅ワークの仕組みを使ったりして、難しい時期を解決していきました。また女性の朝は男性よりも一仕事二仕事も多いので、朝食も私が作る取り決めとしました。

 

なお、あとあと聞いてみると、週1日であっても、フルタイムで復帰するママにとっては価値ある1日のようです。週1日残業できる、同僚と飲み会に行ける、フラッと買い物に行ける日があることは、特に乳児を育てる上でリフレッシュの時間になるそうです。

 

2-3. 「育児世代」:小さな会社やスタートアップでもできること

・職歴ブランクのあるママを積極的に採用すること

・時短勤務や在宅勤務でも成果が出る事業モデルや業務フローを確立すること

・同一価値労働同一賃金原則で処遇設計すること

 

目下のところ出産・育児・保活・駐妻など、何らかの形で職歴にブランクのあるママの再就職は非常に厳しく、再チャレンジの難しい社会構造が存在します。言わば労働市場からオミットされている存在です。これらのママは元来非常に優秀な方が多いのですが、高い有効求人倍率下でも労働時間が限定される、突発的な看護休暇の必要性などから敬遠されています。

 しかし、私は小さな会社やスタートアップこそ、これらのママの採用を強くお勧めします。またその際にできるだけ、その方にとって望ましい環境を整備することを提案します。

 

その理由、メリットは以下の通りです。

  • 現在前代未聞の高い有効求人倍率で多くの会社で採用困難が続いています。しかし上述の通り職歴ブランクのあるママは、その能力・経験に比して不当に低い評価であり、労働市場に大きな需給ギャップが存在します。そのため比較的優秀な人材が採用しやすいです。

  • 小さな会社は経営者さえ理解を示せば、または割り切れば、従業員の労働契約で労働時間や勤務形態を柔軟に設定できます。これが相応のサイズの会社になると、就業規則など人事規定変更などが必要で結構難易度が高くなります。また在宅実現のためのITセキュリティ投資などが膨大になり経営は二の足を踏まざるを得なくなります。その意味でリクルートグループは素晴らしいと思います。

    www.nikkei.com



  • ワーキングマザーにとって好ましい、働きやすい労働環境や、労働時間が限定された中での業務の生産性向上は、全従業員にとってメリットが大きいです。小さな企業を成長させる上では、従業員が最大限パフォーマンスする必要があり、そのためのストレスは限りなく除去していくことが望ましいです。
    ワーキングマザーの労働環境の整備は全従業員の満足度向上に必ず寄与し、余計なことを考えずに業務に集中することが可能になります。当社では会議も月2回、最大各1時間までとして、他のすべての時間は業務に集中できるようにしました。

  • 同一価値労働同一賃金原則を運用するためには、各業務の価値やそれに対する報酬を定める必要があります。これはザックリしたガイドラインで良いし、途中で変更しても問題ありません。小さな会社ではそもそも業務フローもなければ、業務の価値や報酬も定義しないことが殆どですが、そもそもこの仕事の価値はいくらだ?と定めることで、業務の可視化や改善、生産性追求が可能になります。

  • そして最後にこれは私の感覚なので、他の方にはご理解いただけないかもしれませんが、子供を持って初めて「世の中にはどうにもならないが、自分がやらないといけないことがある」ことが理解できました。子どもが病気をする、いやいやする、泣きわめく、これは親以外誰も代わってあげることはできないし、どうにもならないことなのです。
    それに比べると大人の世界、特にビジネスにおける問題は、時間かお金か工夫で概ね解決可能です。そのため、ビジネスにおいてアタフタしていても、ママは日頃本当にどうにもならない事案に慣れているので、泰然と対応してくれる可能性が高いです。恐らく人間としての器が一つ大きい、これが母性なるものかもしれませんが、と思います。

 

東京だけで税務申告ベースで約100万の法人が存在しています。その大半が小さな会社であり、更に毎年多くの起業家がベンチャーを立ち上げています。私はこれらの経営者・起業家こそが、一億総活躍社会の実現者たると考えています。

 

現在苦しんでいる多くのママや子どもたちは現在、将来の顧客であり、ビジネスの基盤となります。それを身近なところから、例えば各社1人でも柔軟な対応でママを雇用することは、最終的には自分たちの商売、市場を延命することに繋がります。

加えて、小さな会社ほど働き方や生産性を改善した際の効果が早期に利益として回収可能です。少なくとも私の実体験では、まずママを雇用し、柔軟に働ける環境を整えることは、業績・成長の阻害要因にはならず、むしろ多くの無駄や無理を省くことに繋がり、良い影響しかなかったと実感しています。

 

行政や国を批判することは簡単ですが、それはこれまでずっと長い間多くの方がやってきて、多少の変化はありましたが、抜本的な解決には至っておりません。

「論」より「行動」、1人の雇用、1つの労働条件の柔軟化、意外と手軽に進められますし、当社にとっては非常に投資対効果の大きい良い施策でした。

 

最後に、このブログを書きながら、働くママのこと、保育園問題をライターとして取り上げつつも、必ず自著のPRや、自ブログのPVへ誘因して稼ぐスタンスに拒否感を持ったことを思い出しました。それがライターの仕事だ!馬鹿野郎!と言われればそれまでですが。

 

次回は1億の中で大きな構成要素を占めながらも、なかなか活用が進まないシニア労働力について言及します。

 

shirokurotatejima@gmail.com

 

以上

インターネット上に言論を公開する意味、境治氏からの抗議に応えて

昨晩より俄かに人気者になりつつある「三上俊輔」です。

境治氏というブロガーの方より「Newspicksと三上俊輔に抗議する〜私の記事はピックしないでほしい〜」なる投稿で、並々ならぬ意欲を持った抗議を受けました。

 

最も私への抗議は導入に過ぎず、本論はNewsPicksというニュースキュレーションアプリへの批判であり、こちらは運営側が対応すべき案件ゆえに少しだけ言及し、総論にはなってしまいますが「インターネット上に言論を公開する意味」をコメントいたします。

 

*なお、Newspicksとは様々なニュースや記事に対して、読者がコメントをつけ、それをシェアすることができるサービスです。私は2年くらい前から利用しており、最近は随分ユーザーも増えたのではないかと思います。はてブの文字数多い版とお考えください。

 

 1. 事の経緯は何だったのか?

さて、本件については何の話かよく分からない方もいると思いますので、簡単に事案の経緯を記載します。

  • なかなか本論に入らずご自身の過去記事の紹介や著作の紹介が冒頭展開されるこの記事を私は読みました。そして内心「ご自身の著作のPRをしたい方なのだ」「本論よりもこちらが狙い、自己愛の強い方だ」と感じ、画像のようなコメントをしました。

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  • 5/7に境氏よりTwitter上にて連絡があり、以下のようなやりとりをしました。私は何事もコンフリクトは直接コミュニケーションして解決していくことが一番と考えて境氏にも「お会いしてお話ししますか?」とツイートしましたが、特に提案にはお返事はなく、5/17に今回のブログが投稿されました。

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このブログに対しては、5/17に投稿された後3時間くらいして気が付きましたが、こんな日に限って父子水入らず(嫁さん飲み会ゆえに2人で晩餐→お風呂→遊ぶ)であり、対応は本日となってしまいました。


2. 私が境氏の記事にコメントを書いた理由

ざっくりとまとめると以下のような理由です。

  • 記事の1ページ目はほぼ宣伝、自分の過去のPVと著作の宣伝ばかりであり、「保育園問題」がなかなか登場しません。本当に「保育園問題」を真剣に言論したいのであれば、最初から本論展開します。個人の投稿なので宣伝したい気持ちもわからなくはないのですが、本論述べた後で十分だと考えます。

  • また、その宣伝が2年前の1ブログが中心であり、最近のものではありませんでした。直近、話題になったものであればともかく、2年前の18万いいね!にしがみ付くのはいかがなものだろうかと率直に感じました。また同じ感想を持つ方もいるのではないかと思いました。Twitterでは境氏にも伝えていますが、2年前のヒット作は良かったが、このままだとこの人は2年前のブログの一発屋で終わるな、という印象も持ちました。

  • しかし、これは直接書くには棘がありすぎますので、多くの人がマイルドに理解できるポピュラーミュージシャンを例えにコメントをいたしました。
    私もZARDファンなので、坂井泉水氏をdisる気持ちはないので、どうかその点はご理解ください。

 

そして境氏のコミュニケーションを経て抱いた感想は以下の通りです。

なぜ「お会いしてお話しますか?」という提案を無視して、このような行動に至ってしまうのか?は不思議でなりません。境氏はメディアにおけるコミュニケーションを専門とされているようですが、双方向のコミュニケーションというものを根本的に拒絶されているように見受けられます。

 

本件はビジネスや企業内でも時々見かける光景です。メールだけのコミュニケーションでお互いの真意がつかみ取れずに、当初は「ある行為や事実や意見=こと」の違いから衝突をしていたはずが、いつの間にか「相手そのもの=ひと」を憎み嫌い敬遠するようになってしまう、あれです。吐き気のするようなメール(一方的な情報発信)による人間関係の破たんです。私も過去いくつか失敗しましたが、往々にして自信家(実は井の中の蛙なんだけどね)や知的耐久力に課題のある者が陥ります。

 

最初に会うなり、電話するなりして直接話すと何でもないことが、どんどん拗れ、最終的に出るところにでるか?という紛争に発展します。

 

5/7のコミュニケーションを通じて、私は境氏には、上記に照らし合わせて「お会いしてお話しますか?」と提案しましたが、返答はありませんでした。

なお、正式な抗議というものが昨日のブログ記事であれば、言論に対しては言論でお返しするのがルールであろうと考えて、このように記載いたします。

「お会いしてお話ししますか?」

 

3. インターネットで言論を公開する意味

言論というものは公開されてしまうと、誰彼構わず周知されます。そして個々人は著者(表現者)に対して賛同もするし、批判もします。これは読者(情報の受け手)が勝手に抱く感想であるため、著者の意図するものと異なる場合の方が多いと思われます。

 

特にWEB上で発信するということは全世界に広く言論を公開するものであり、もはやコントロール不能です。著者は読者のあらゆる言論を受け止める覚悟が必要ですし、これが耐えられない、スルーできないのであれば、公開されるツールは使用しない方が良いでしょう。

 

一方でNewspicksのサービス運営に関しては、YouTubeはてブなどと同様に非表示機能を搭載することは取りうべき手段と考えます。特に今回のように著者が直接非表示を依頼するような事案に対しては運営として適切に対応可能なルールが必要だと考えます。

例えばはてブでは以下のような規定が設けられています。


コメント一覧非表示機能について
http://b.hatena.ne.jp/help/entry/nocomment

 

但し、これはWEB上に公開する、つまりより多くの人に情報を受け取ってほしいと考える著者が批判や揶揄を一切受けないということとは異なり、単に当該サービス、プラットホームでコメントが非表示になるだけです。

 

WEBでの情報発信はどこまでもOPENに反応が返ってきますので、最終的には著者は読者からのいかなる反応も受け止めることが求められます。自説への批判は目障りだから止めろという、この批判のハードルを著者が引くことは言論においてはできないと考えます。

 

いつの時代も言論するというのは遍く批判を受け止める覚悟と、批判を受け流す余裕と忍耐が必要であり、意見が異なれば話し合い直接意見をぶつけ合うことが自然です。むしろそこからの意見の展開や発展を楽しむことがオンライン/オフライン双方で言論を公開する醍醐味であろうと考えています。

 

なお、今回の主たるテーマである保育園問題、これは即ち一億総活躍社会における育児世代のパパママに何が必要か?という議論については、私は論より行動と考え直近6年間過ごしてきました。こちらについては明日掲載を考えております。

 

以上